【事例】真鍮で再現する「魂の宿る筆文字」

| 素材 | 真鍮 C2601 |
|---|---|
| 単価 | 10万円(データ作成 事前試作込み) |
| サイズ | 350X350 |
| 厚み | 3ミリ |
| 枚数・個数 | 1 |
| 所要時間 | 2週間 |
ポイント
真鍮は高級感がある反面、レーザー加工においては非常に繊細な技術を要する金属です。
ただ切り抜くだけではない、職人のこだわりが詰まった工程を紐解きます。
### 1. データ作成の難しさ:デジタルとアナログの融合
最初のハードルは、書家が書いた「生きた文字」を、いかにレーザー用のパス(線)に落とし込むかです。
* **「閉じたパス」への変換:** 毛筆文字は、一見つながっているようで、かすれ部分が独立した「島」になっています。
そのままではバラバラに落ちてしまうため、全体のデザインを損なわないよう、0.1mm単位で「つなぎ(ブリッジ)」を設計する必要があります。
* **物理的強度の確保:** 細いハネや払いを忠実に追うと、強度が不足して折れやすくなります。
見た目のシャープさを維持しつつ、実用的な強度を持たせるためのデフォルメ技術が求められます。
### 2. 「かすれ」表現の難しさ:0.1mmの攻防
筆文字の最大の魅力である「かすれ」や「飛沫(しぶき)」。これを金属で表現するのは至難の業です。
* **「点」をどう残すか:** 飛び散った墨の点を表現しようとすると、レーザーの熱で材料が溶け落ちてしまったり、小さすぎて固定できなかったりします。
### 3. レーザー加工の難しさ:真鍮特有の性質
真鍮という素材そのものが、レーザー機にとっては「天敵」に近い特性を持っています。
* **高反射率の壁:** 真鍮はレーザー光を反射しやすく、マシンにダメージを与えるリスクがあります。反射に強いファイバーレーザーを使用し、さらに出力と速度を極限まで微調整する必要があります。
* **熱による歪み:** 真鍮は熱伝導率が高いため、複雑な筆文字を長時間カットしていると熱がこもり、材料が歪んだり、切り口が荒れたり(ドロス付着)します。
* **仕上げの繊細さ:** 切り抜いた直後はエッジが鋭利です。筆の勢いを殺さぬよう、手作業で丁寧にバリを取り、真鍮本来の輝きを引き出すバフ研磨やクリア塗装で仕上げます。
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## 結び:技術が生む「一生モノ」の輝き
データ、表現、加工。
これらすべてのハードルを越えた先に、デジタルフォントでは決して出せない、力強くも繊細な真鍮の切り文字が完成します。経年変化でアンティークな風合いに育っていくのも、本物の真鍮ならではの楽しみです。
> **「こだわり抜いたロゴや書を、最高の形で形にしたい」**
> その想いに応えるのが、私たちの精密レーザー加工技術です。







