試作の見積もりを「本当に」安くする方法とは?

ポイント
「試作品を少しでも安く抑えたい」
ものづくりに携わる方なら、誰もがそう願うはずです。
私たちレーザージョブショップには、日々多くの試作のご依頼が舞い込みます。
その際、よくお客様からこのようなご相談をいただきます。
- 「板厚を少し薄くしたら安くなりますか?」
- 「穴の径を小さくしたらコストダウンになりますか?」
結論から申し上げます。試作段階において、こうした微細な仕様変更は、見積り金額にほとんど影響しません。
むしろ、やり取りが増えることで、逆にコストが上がる要因にさえなり得ます。今回は、加工現場の裏側から見た「試作見積もりの正体」についてお話しします。
試作コストの9割は「加工以外」で決まる
意外に思われるかもしれませんが、試作1個(または1セット)のお見積りにおいて、実際にレーザーで板を切っている時間はごくわずかです。
お見積り金額の内訳をイメージ図にすると、「材料・切断費:1」に対し、「諸経費・事務工数:9」という割合になることが珍しくありません。
新規のお客様の場合、一度のご注文のために以下の工程が必ず発生します。
1. 仕様の打ち合わせ・図面確認
2. 販売管理ソフトへの顧客情報・受注入力
3. お振込みの確認・経理処理
4. CAD/CAMによるカットプログラム作成
5. 材料の選定・手配(端材の確認含む)
6. 社内での製作注意点の共有
7. 梱包・発送の手配(梱包材の準備、送り状作成、運送便手配)
これらは数量が1個でも100個でも変わらずにかかる「固定費」です。
特に発送業務は、製品を傷つけないための梱包や伝票作成など、切断時間よりも長くかかることさえあります。
そのため、穴のサイズを数ミリ変えたところで、この「9割」の部分は微動だにしないのです。
「量産」と「試作」ではコストダウンのルールが違う
もちろん、100台、1000台と流れる「量産」であれば、板厚を薄くして材料費を削ったり、加工時間を1秒短縮したりすることに大きな意味があります。
しかし、試作はあくまで「形にして検証すること」が目的です。
試作段階で細かな仕様変更を重ねて何度も再見積もりを繰り返すと、その分だけ事務工数(人件費)が積み上がり、
結果として提示価格を下げられなくなるという逆転現象が起きてしまいます。
経験上「試作で値切る=量産にならない」?
厳しいことを言うようですが、私の長年の経験上、「試作段階で激しく値引き交渉をされるケース」が、のちに数百台規模の量産に繋がった例はほとんどありません。
(※注:量産になる場合は、最初から量産を前提とした合理的なコストダウン相談があり、試作段階で無理な値切りをされるお客様は一人もいらっしゃいません)
本当に量産を見据えているお客様は、試作段階ではスピードと精度を重視されます。
そして、量産が決まったタイミングで、論理的にコストのご相談をくださいます。
私たちは、そうした前向きなパートナーシップには全力でお応えしたいと考えています。
試作を少しでも安くするための「正解」
もし、試作を少しでも安く抑えたいのであれば、仕様をいじるよりも「私たちの事務・付帯工数を減らしていただくこと」が一番の近道です。
- 図面データを不備なく、分かりやすい形式で送る
- 仕様を確定させてから見積もりを依頼する(再見積もりを減らす)
- 継続的なお取引を前提に、事務処理の簡素化に協力する
これが、ジョブショップにとって最もありがたく、結果として「安く、早く」お届けできる方法です。
私たちは、お客様の「良いものを作りたい」という情熱には、誠実な加工でお応えします。
ぜひ、本質的な部分での協力関係を築いていければ幸いです。







