鉄(SPCC)の極薄シムプレート:なぜステンレスではなく「鉄」なのか?

ポイント
精密機械の高さ調整や隙間埋めに欠かせない**シムプレート**。
一般的に、0.1mmや0.2mmといった薄板のシムといえば
「錆びにくく、流通量も多いステンレス(SUS)」をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
実際、弊社でもステンレスでの製作を推奨することが多々あります。
しかし、意外にも**「鉄(SPCC)の薄板シム」**の引き合いは絶えません。
今回は、あえて「鉄」でシムを作る理由と、その背景にある業界の事情についてお話しします。
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### 薄板なら「鉄」も「ステンレス」もコストは大きく変わらない?
一般的に、鉄とステンレスの材料単価を比較すると、**ステンレスは鉄の5倍近い価格**になることも珍しくありません。
これだけ聞くと「鉄の方が圧倒的に安上がりだ」と感じるはずです。
しかし、**厚みが0.2mm以下の極薄板**になると話が変わります。
* **材料費の比重が下がる:** 板厚が極端に薄い場合、
製品価格に占める「材料費」よりも「加工賃」や「管理費」の割合が大きくなります。
* **価格差が縮まる:** 結果として、0.1mm〜0.2mm程度の厚みでは、
鉄とステンレスで最終的な見積価格にそれほど大きな差は出ません。
それならば、耐食性に優れ、錆びにくいステンレスを選んだ方がメリットが大きいように思えます。
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### それでも「鉄(SPCC)」が選ばれる理由
では、なぜ「価格差が少なく、錆びやすい」という条件でも鉄のオーダーが入るのでしょうか。
その理由は、機能性以上に**「図面の指定」**という高い壁にあります。
#### 1. 図面に「SPCC」と明記されている
最も多い理由は、設計図面に材質が「SPCC」と指定されているケースです。
特に歴史のある設備や、厳格な管理がなされている製品の場合、
材料変更一つにも膨大な承認フローが必要になります。
#### 2. 商流上の変更の難しさ
特に商社様経由のご依頼の場合、弊社から「ステンレスの方がおすすめですよ」と提案しても、
その声が最終的なエンドユーザー様(設計元)に届き、材質変更の合意を得るまでには非常に時間がかかります。
「図面通りに納めること」が最優先されるため、あえて鉄で製作することになるのです。
#### 3. エンドユーザー様だけの決定権
機能的にはステンレスで十分代用可能であっても、磁性の有無や熱膨張率、あるいは「過去の実績」を重視する観点から、エンドユーザー様がSPCCを希望される場合があります。
この変更判断は、現場の加工屋や商社では越えられないラインなのです。
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### 弊社は「SPCCの薄板」も常時在庫しています!
「鉄のシムが急ぎで必要だが、なかなか在庫を持っている会社がない」
そんなお困りごとのために、弊社では鉄(SPCC)の薄板在庫を幅広く取り揃えております。
**【在庫ラインナップ】**
* **板厚:** 0.1mm / 0.2mm / 0.3mm / 0.5mm / 0.8mm / 1.0mm など
もちろん、ご提案として「ステンレスへの変更」をアドバイスさせていただくこともありますが、**「図面通りにSPCCで作りたい」というご要望にも即座に対応可能**です。
1枚からの試作、短納期でのカットも承っております。鉄のシムプレートでお探しの方は、ぜひお気軽にお見積りをご依頼ください。







