厚板25mmステンレスの額縁加工への提案

ポイント
厚板の加工において、お客様の「当初の希望」が必ずしも「最適解」ではないことがあります。
今回は、材料のロスやコストの観点から、お客様の真のニーズを深掘りすることで、より現実的で満足度の高い着地点を見出した事例をご紹介します。
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### 【ご相談内容】
「板厚25mmのステンレス(ヘアライン研磨)を、額縁状に切断してほしい」という見積もり依頼をいただきました。
一般的に、板厚25mmという重厚な材料にヘアライン加工を施すケースは珍しく、
さらにそれを「額縁状(真ん中を大きくくり抜く)」に切断する場合、抜いた内側の材料代も発生してしまいます。
もちろん、スクラップとして製品代からは差し引きますが、材料費の総額としては非常に「もったいない」加工内容と言えます。
### 【ヒアリング:その用途は何ですか?】
概算見積を提示すると同時に、私たちは「何に使用されるのか」を詳しくお聞きしました。すると、意外な回答が返ってきました。
* **エンドユーザー:** 一般家庭のお客様
* **用途:** 流し台に置く「食器乾燥用の台」
市販品ではなく、わざわざ特注で、しかも25mmという極厚のステンレスを希望される。
そこには並々ならぬ「こだわり」があるはずです。しかし、このまま進めると弊社の部品代だけで10万円、製品代になると**20万円以上**に膨らむ可能性がありました。
### 【プロとしての代替提案】
「食器を乾かす台」に20万円。お客様のこだわりは尊重しつつも、コストパフォーマンスの観点から、以下の2つのプランを提案しました。
#### 1. 角パイプや角棒を溶接して枠を作る方法
25mmの板をくり抜くのではなく、同じ厚みの角棒や角パイプを組み合わせて溶接し、枠(額縁)を作る方法です。
* **メリット:** 材料の無駄がほぼゼロになり、大幅なコストダウンが可能です。
#### 2. 板厚を見直し、6mm厚のヘアライン材でレーザー切断する方法
「本当に25mmの厚みが必要か?」という根本的な見直しです。
* **メリット:** 6mm厚でも十分な剛性と高級感は得られます。
ヘアライン材からレーザーで切り出すため、製作期間も短縮でき、予算を大幅に抑えられます。
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### 【まとめ】
図面や仕様通りに見積もるだけなら簡単です。
しかし、そのまま進めてしまうと、エンドユーザー様が求めている「仕上がり」や「予算感」から大きくかけ離れ、最終的に満足いただけない結果になるリスクがあります。
今回の事例を通じて、「事前に使用用途をしっかりとお聞きすること」の重要性を再認識しました。
私たち加工のプロは、お客様の「想い」を形にするために、技術とコストの最適なバランスを提案し続けてまいります。







